このサイトを立ち上げた目的は、
- プロのイラストレーターになるまでの成長記録をアーカイブするため。
- イラスト修行の仲間を探すツールとして。
- より多くの人に作品やその過程を知ってもらうため。
- 本業のデザインとイラストを組み合わせる「場」を作る。
- 講師のお仕事をするかもしれない、その準備として。
- そう遠くない将来、ブログを収益化
今回はこの「収益化」についてきちんとお話ししておこうと思います。
収益化への違和感
広告収入を目的としたアフィリエイトブログに嫌気がさしている方は少なからずいらっしゃると思います。かくいう私もそのひとりです。私は自分のブログをバナー広告でガチャガチャにはしたくないと思っています。
もちろん、ブログをデザインすることや記事を編集・継続していくこと自体にコストがかかります。ドメインやサーバーの維持費も無料ではありません。趣味、と割り切ってしまえばコストとは言いません。しかし、まだ修行中だと言っている無名イラストレーターの趣味ブログに、一体どんな価値があるというのでしょう。ブログの価値を高めるためにも、趣味の域を超える必要はありそうです。
だからと言って広告を載せることはしっくりこない。
その違和感の正体は何か、私が普段グラフィックデザイナーという仕事をしている立場から考えてみたいと思います。
デザインは覚悟のいる仕事
最近はWEBデザインを中心に『誰もが・カンタンに・無料で』デザイン(ここではグラフィックデザインを指します。以下、同様)を享受できる時代になりましたが、本来、デザインとはクライアントの価値を高める性質が備わっているもので、それは常に競合他社との比較にさらされ、唯一無二といえるデザイン、服でいうとオートクチュール(※1)です。
デザイナーが納める成果物に「クライアントの価値を高める性質」が備わる、ということは、一朝一夕で成せるものではありません。実際、デザイナーは作業以外の時間もほとんどの人生をデザインに費やしているのが現実です。アイデアやセンスを蓄積している「ひきだし」が多ければ多いほど、デザインの幅も質も向上するからです。

DESIGNGISEIDというサイト名はそこから由来します。
つまり、DTPやコーディングなどの実労働以上に、デザイナーにはきちんとした対価が必要です。
わかりやすく、アイデアやセンスに対する対価と言ってもいいかもしれません。
最終的なクライアントの利益を考えれば、本来デザインを作る側の人間は「成果を出すぞ」(※2)という覚悟が必要です。
例えば、建築士が建物の安全を預かる免許が必要なように、デザイナーはクライアントの利益を預かるのだから、期待に応えるのはもちろん、それ以上の覚悟がないと安直にやっていい仕事ではないはずです。それはつまり、自分を安売りするクリエイターは信用できないとも言えます。
そんなこと言うデザイナーはプライドが高いだけだ、とみられるかもしれませんが、むしろ、自分に自信満々なら、休日を潰すこともせず、覚悟ということばも使わないし、もっと“クリエイターとしての自分”の魅せ方も上手です。見た目がおしゃれなデザイナーが悪いってことはもちろんないのですが、実際の多くのデザイナーの置かれている環境は、成果物の華やかさとは程遠く、泥臭いものです。
もちろん、このブログにも覚悟を持って挑みたいと思っています。このサイトの場合、サイトを立ち上げた目的ははっきりしているので「目的を達成させる」というのが覚悟ということになりますが。
※1:「オートクチュール」…注文により裁縫されるオーダーメイド 一点物の高級服やその店のこと。(Wikipedia, 2021年6月時点)
※2:成果というのは、集客数や売上げ達成といった目に見える成果もあれば、エンドユーザーの評価のように長期的にみないと得られないものもあります。あるいは、従業員のモチベーションが上がったり、社内の空気が変わったというような目に見えない成果もたくさんあります。
今はまだ収益化しない理由
イラストの上達に直接関係ないこと(収益化のいろは)を勉強する時間が惜しいです。
それが一番大きいのですが、それ以前に、自分のブログが未熟なうちから広告を出せば、広告収入自体が目的になる気がします。それでは本末転倒ですね。きっと、これが違和感の正体でしょう。
ただし、自分の生んだ価値を目に見える収益に変えていかなければ、クオリティーの維持も向上もかなわなくなります。出ていくコストばかりが増えればやる気の低下にもなります。私のブログを読んだ人が「読んでよかった」と思える記事を継続して生み出していくためには、いつか収益化は必要なんだな、ということも同時に考えています。
つまり、その両面を合わせて、
記事の質や量をある一定レベルまで達するまでは収益化しない、と言っていいと思います。
この考えは、黎明期を生き抜いた、あるプロのダンサーから学びました。
彼女は日本のダンス業界の中でも黎明期の頃からプロのダンサーとして活動していて、当時(2000年台初頭)はまだダンサーの社会的地位が低い=ダンスだけで生活できる稼ぎが生み出せない、と嘆いていましたが、それでも、けして自分を安売りせず、コストの見合わない仕事は、たとえ友人の頼みでも断っていました。
それは、自分より後の世代がダンサーを職業として目指したいと思えなくなるから、だそうです。もともとプロのダンサーとしての存在価値の高い彼女だからこそ言えたセリフかもしれません。しかし、そういう地位に奢ることなく、徐々に活動の場を広げ、仲間を増やすことをしていました。舞台上の活躍だけでなく、ダンスの本やDVDを出したり、教室を開いたり。たぶん、その頃、ハウツー動画を出しても売れるダンサーって本当に数えるくらいしかいなかったと思います。(Youtubeのない時代!)
私がまだアシスタントだった頃、ミュージックビデオを撮影する現場にいて、彼女に「お友達価格でバックダンサーをお願いできないかしらん?」と気軽に声をかけてしまい、ただ、私の(現場で弱い)立場もちゃんとわかってくれた上で、怒ることはいっさいせずに、ずっと諭すように上記の業界話をしてくれました。断られたショックよりも、ダンスの話になるとまっすぐになる彼女の話し方にびっくりしたことは今でも覚えています。
今となっては職業として一般的にも認知されているダンサーですが、彼女が全身全霊で業界に尽力した事実は、私にとっても、日本にとっても、重要なファクターだなと思います。感謝です🙏
そのダンサーとは、私の友人であり人生のセンパイでもあるAさんです。お名前を出していいものか迷ったので頭文字だけで失礼します!