既にプロで活動していても「デッサンは苦手」というクリエイターは結構いるらしく、そういう社会人向けのデッサン教室。「モノを見る目を養い基礎力UP!」という理論派の先生が短時間で習得できるポイントをまとめてくださいました。
私はデッサンをちゃんと習うのはこれが初めてで、鉛筆の削り方から教わりました。なぜクリエイター向けと書いたかというと、教室に参加した方全員と個別に先生が対話をして「どうなりたいのか?」に的確にアドバイスされたからですね。中にはイラストを生業にしたい方、漫画家志望の方、私以外にも2Dや3Dデザイナーの方々もいました。
自分でも実感できるくらい、効果がありました。
全8回の集中講座
集中講座-STEP1:鉛筆に慣れる

主に指摘されたこと
- 線は筋トレと同じ。回数を重ねて鍛えるしかない。
- めっちゃ細目で濃淡を見、グラデーションスケール(色見本)のどの値と同等かを確認する。
- 塗りが浅い。2〜3m先から鑑賞する前提で濃度を出す。
- 塗りムラは気にならない。むしろアナログの雰囲気が出て良い。
- 台もちゃんと描く。
- 形は取れてる。正円だね(←褒められたョ!)
先生に「正円だね!」と褒められてから、円を描くのが楽しくなってしまった。これがまさかの毎朝の習慣に。
集中講座-STEP2:パースを理解する


(上の写真の1)まだちょっとパースがキャラメル。測ってはいるけど席を離れて見なかったことによる狂いに気づかなかったことが失敗の原因でした。帰宅してすぐリベンジしたものが2の写真です。離れて見る、大事です。
目から鱗だった解説
- 三点透視法を「肉眼」と「レンズ」で見た時に違いが生じる。肉眼は常に焦”点”の辺が三点のZ軸になる=どの縦軸を見ても常に垂直に目には映る。対するカメラのレンズの場合はZ軸が中央に固定されるためそれ以外の左右の辺は必ず少しずつ斜めに消失する。(これを理解するためには「写真のデッサン」よりも「リアルのモチーフを目の前に置いてデッサン」をしてみた方が良いというのが実感できた。)
- アニメーションやイラストの世界ではその差異は許容範囲。既に私たちは見慣れている。しかし「アイレベル」だけはどんな場合でも揃えて合成しないと成立しない点は要注意。



それから毎日、自宅で濃く塗る練習。球体をもう一度描いたらまりもっぽくなってしまった。結局ひとりでは解決策がわからず「タッチって?」とか書いてある笑
集中講座-STEP3:固有色と質感

まだ濃く塗れていない。濃く塗れないせいでブロックのガサガサ感が全く表現できませんでした。先生方の講評では「遠慮がちなのか、繊細な人なのかなぁ」だったけど、私は繊細でも遠慮がちな性格でもないと思うのだけれど、絵の先生をやっていた実母いわく「性格は絵に出る」らしい。ブロックに付いている汚れと溝の陰の違いを表現できればもっとよかった。
目から鱗だった解説
- 重ねていくよりもまず濃く塗る練習。どこがダメなのか自分の限界を知るためにも遠慮なく怖がらずに思いっきりタッチ出して描こう!
- 『見せる黒』を描き分ける(模様、汚れ、固有色、エッジの影、そして質感)には鉛筆の音を聴こう。
- 面が繋がらない境界は塗り込む。
集中講座-STEP4:円柱にパースをつける

目から鱗だった解説
- 正方形の中に正円が入り、四隅は同じ面積になる。パースのついた奥行きのある正円の場合、尖った方向に引っ張られている。(参照:上の写真の右下に描いている小さいメモ)
集中講座-STEP5:立体感を表現する


デッサン教室では毎回かならず最後に講評を行う。他の人の作品を見ると自分に足りないものがなんなのかが理解できる。もちろん自分の作品に意見してもらうこともありがたい。私がこの時に感じたことは以下の通り。
指摘されたこと&講評で感じたこと
- まだ私は鉛筆が寝ている。もっと立ててガリガリ描いてみないと壁をぶち壊せない。質感がでない。
- 台を効果的に描けてない。先生に指摘されるまで水平線より上の方まで塗っていたけど絵として魅せるには塗っちゃダメだった(速攻消したけど、実際にはミルクピッチャーの持ち手の位置まで台を描いていた)
- 左側が左右対称にうまく描けない。特に接地面の回り込みや、上半の曲線がうまくない。
- 情報量が少ない。写り込み、ゆがみ、タッチ!
集中講座-STEP6:構造を覚える
これがもっとも感動した。ようやく美術解剖学のありがたみを理解した!!!


奥行きのある手を描くときは「鏡」を使うとよい。他人の手のように見える。↓


目から鱗だった解説
- (『形』をとる前に)『構造』を理解してアタリをとると『形』が描きやすくなる。
- 触れる骨には贅肉がつきにくい=骨格がとりやすい。
- 指の関節の位置をランドマークにして長方体をアタリ、肉付けをする。
そして、これ以降、私は美術解剖学をまじめに取り組み始めました。KUAのKATO先生、復学したら、いの一番に課題提出いたします!
Ki先生のアナトミー動画がおすすめ。絵が上手くなった錯覚が起きる!
集中講座-STEP7:構図、STEP8:完成度を上げる

結局、私は最後まで「遠慮がち、繊細なひと」の評価がくつがえりませんでした。描いている途中でもそういう絵柄の人?と問われて「いえ…自分ではそんなつもりがないのです」と小声で泣きそうになりました。それでモチーフ選びは柔らかいものと光沢感の少ない缶になりました。(別の選択肢はレンガと光沢感のあるバケツでした。)
あえて苦手なモチーフを選ぶともっとしごかれてよかったかもしれないな、と終わってから気づきました。
で、やっぱり左側が描きにくいです。缶は左右対称のはずなのに描けてませんね。これはデジタルだと画面を反転できるから気づかなかった点です。
指摘されたこと&講評で感じたこと
- 布の情報量が少ない。もっとガリガリ描くべきだった。
- イラストで線画を描くなら鉛筆は立てて描いた方が絶対に良い、とアドバイスをもらった。
- 布の重なり部分にもっと「奥」や「手前」の表現が欲しかった。
- 台はかなり塗れてきた。(今回は濃い茶色だっただけに、濃く塗った!)
- 最終回にしてようやく鉛筆が立ってきた。が、他の人と比べてまだ薄い!!(目標、この倍。)
- ボールはツルツル感を出すためにもっと写り込みをパキっと描く。
- ボールの固有色と缶に映り込んだボールの色の違いがもちょっと出せたらよかった。
- 構図を決めるのに、最初のアタリのアタリの段階から席を離れて見る。それから色を載せてからもこまめに席を立って見る。今回はそれができたのでよかった。
教室のURL、先生の著書
トライトーン・アートラボ(https://tritone-artlab.com/)