名刺デザインに思うこと(課題考察の予告的なもの)|KUA復習用受講ノート#003

8月は大学の課題に忙殺されるひと月でした。1ヶ月以上ぶりのブログ更新です。
8月28日が夏期課題の締切日でした。提出できた課題とその講義について振り返ります。

今回のワークショップは「デジタル演習B1」
Adobe Illustratorの基本操作から簡単な入稿データを完成させるところまで、です。

INDEX(この記事の目次)

コロ先生のご紹介

担当は「イラレ職人」こと、コロ先生です。TwitterやYoutubeでたくさんイラレのチュートリアルをアップしてくれています!(動きがかわいい☺️)

Adobe Illustratorとともに生きて

私は子供の頃からMacでデザインの真似事のようなことをしていて、Adobe Illustrator(以下、「イラレ」)がまだバージョン8だった頃からのお付き合いです。「イラレのバージョン8」と言うと、印刷業界やグラフィック業界の方なら長い間、呪縛だったことを思い出すでしょうか?コロ先生だったか他の先生だったか、講義の中で「イラレといえばビーナス(※)」と言っていたのは、この当時のアプリの顔が彼女だったからです。(※どこでそれを言っていたのか忘れてしまったのですが。)

管理人

それだけの長い付き合いなので、基本操作は問題ありません!

と、思っていたのですが、
さすがイラレ職人。メモが止まりませんでした😅

あくまで私個人の感想ですが、イラレの使う目的によっては、基本中の基本操作だけでも十分なほど使い勝手のいいデザインソフトです。すでに手が慣れてしまっている操作は新機能を使うより速いので、どこまで新しいことを取り入れるかは、結局、自分次第ですが、新機能のおかげで時短だけでなく表現方法の幅が広がるっていうこともあります。

ちなみに、5章に出てくる「オブジェクトのアウトラインからのプレビュー境界」は、知らなかった(恥ずかしい💦)適用すると若干プレビューがゴワゴワするのですが、これで、いちいちコピペしてアウトライン化しなくていいの、嬉しいです。このほかにも整列機能はいろいろあります。Twitterに上がっていたので参考までに。イラレでは本当によく使う機能です。

管理人

コロ先生に、感謝です

課題の考察…の前に。

まだ「デジタル演習B1」の課題を制作していない方へ:

この考察を読むことで予期せぬ固定概念や誤解が生まれてしまう恐れがあるので、ここから先の閲覧はオススメできません。あくまで、私個人が自分のために課題と向き合ってる考察なので、ご理解ください。

結局、最後まで受講しないとコロ先生の良きアドバイスを見逃してしまうし、肝心の課題の意図が見えないので、もしも私のブログなんかみて先に課題制作やってしまったら、早合点して間違えて評価下がってしまうかと。

管理人

そんなこと言われなくったって自分のためにならないってみんなわかってるよね〜

ワークショップ内では、コロ先生や虎硬先生がサクッと名刺デザインの見本を示してくれていますが、見本の通りに作れば良いということでは全然ありません。プロを目指すなら、その『壁』を乗り越えないといけない。

絵師=プロのイラストレーター(ここではAdobeのソフト名と区別するため、以下、「絵師」と書きます。)にイラレはあまり必要ないって聞くこともあります。ほとんどの絵師さんの方々にはClip Studio PaintやPhotoshopで十分ですよね。

それなのに、必須科目にイラレは必要なのでしょうか?

→結論:必要である、と私は思います。

私の推測ですが、最近は絵師が任される仕事の幅が広がってきているからではないでしょうか?
例えば、イラレが扱えると以下の成果物が作れるようになります。

  • 同人誌などの製本
  • 漫画やライトノベルに代表するようなカバーデザイン
  • 紙媒体のデザイン(名刺、DM、年賀状、パンフレットなど)
  • 広告(交通広告、雑誌広告、WEB広告のいずれも該当)
  • ポートフォリオなどのWEBサイトデザイン
  • ロゴデザイン(洋服のタグなどにも使われる
  • MVなどに使うモーショングラフィック

グラフィックデザイナーはこれら全てを扱っています。
(正確には、冊子はInDesign、モーショングラフィックはAfterEffectsになりますが、同じAdobe製です。)

グラフィックデザイナーと絵師の境目がなくなってしまいそうですが、そうではなくて、

グラフィックデザイナーが絵師に仕事を発注する際に絵師の作業工程を知っておいた方が発注がスムーズにいく(スケジュール管理がうまくいく)、という私がもともとこのサイトを立ち上げた時に考えていた発想と、逆の流れが言えると思うのです。つまり、絵師もグラフィックデザイナーに全てを任せるのではなく、相手方の作業工程を知っておいた方が、仮に自分の作品集をグラフィックデザイナーに委託する際にもいろいろと発注の仕方がスムーズになる、っていう考えです。

もちろん、入稿作業までできれば、自分で作ることもできますし。

その意味で、まずは、自分の名刺をデザインしてみようっていうことだと思いました。

超余談:お互いの領域にあえて踏み込まない慣習といいますか、口出ししない暗黙の了解みたいなものは、あるところにはあるかもしれません。双方の間に編集者やプロデューサーが仲介しているケースもありますし、直接やりとりしない方が円滑に進むというケースもあるにはあります。特に、同時進行で複数の案件を抱える職人級の絵師やデザイナーにとっては、連絡のやりとりで時間を取られることを避けたくなるものです。
ただ、自分がフリーランスになってからは、『デザイナーや絵師に限らず、関係者はもっとお互いがお互いの作業ペースを把握した方がいいのにな』って思うことがすごく多いです。特に、作業分担が細分化されるクロスメディアな案件では、中間地点に全員のスケジュールを把握しているマネージャーの存在が欠かせませんが、そのマネージャー的ポジションをグラフィックデザイナーが担うケースも稀にあるわけです。これが、本業より骨を(心を)折りまして😅コストをかけてでもそこはやはりプロのマネージャーに託すに限りますが、それでも、相手方の作業工程を知っているか知らないか、で、こちらの腹づもりも変わるものなのです。紙媒体からスタートしたグラフィックデザイナーがWEBデザインを苦手とする所以は、おそらくここにも少し起因していることでしょう。

名刺デザインの歴史を知る

では、さっそく名刺のデザインをやってみよう。という話になると思うのですが、普通は。

しかし、それを生業とするグラフィックデザインの畑では、少しスタートラインが異なります。

私が生まれて初めて名刺のデザインをしたのは、自分のではなくお客さまのものでした。そうです、いきなり仕事です。私自身の名刺はというと、会社のフォーマットが決まっていて総務部が入社時点で作ってくれていたので、それまで名刺のことを深く考えた機会はありませんでした。社外の人と名刺交換もいくらかしていましたが。
では、いきなり他人様の名刺をデザインするとなって、自分の好き勝手な感性でキラキラ〜というわけにはいきません。どうしたら名刺がデザインできるかという理論?を先人(ここでは当時の上司や著名なデザイナーが書いた理論っぽい本)に教えを乞うたわけです。

結論を書いてしまうと、名刺の歴史を紐解く、ということになります。

管理人

デザイン作業の前にお勉強ですよ。
しかしこれ、層がアツい💦

名刺のデザイン』というのは、とても奥が深いですよ〜。印刷技術の革新に伴って進化していきます。

現代で主流の印刷技術に「オフセット印刷」、オフィスや家庭にあるレーザーやインクジェットのようなものもありますが、現代的な印刷が普及する前は「活版印刷」というものがありました。活字と呼ばれる金属製の文字の凸版を紙に押しあてて転写する技法で、最古の印刷技術のひとつ(金属版の前に木版)です。
昔、印刷所の工場見学で、職人さんたちが、一文字一文字、木の枠に文字を並べて版を作る、という映像をみたことがあります。日本語の標準的な文字の種類は7,000字強(現代の日本語フォントを参考)が必要だと聞いたことがありますが、その膨大な数の凸版から原稿を組んでいくのは気が遠くなりそうな作業です。

©stock.adobe.com

現代では逆にその凸版を使った印刷が高級でこだわりが強く見えるということもあって、結婚式の招待状や、ブランドのDMなんかによく使われていて、今でも目にする機会があると思います。こうした現代の凸版は金属製だけでなく安価な樹脂製も選べて、さらにデジタルで版をデザインできるので、活字時代より導入しやすいですね。

その活版印刷で名刺を刷るのが主流だった時代があります。おそらく。(断言しないのはその時代を生きていないので)断言はできませんが、私が子供の頃は、父も父の取引先もみんな同じような見た目の名刺だった記憶があります。私が生まれるよりはるか古くからあるような老舗の企業やお堅い業種の名刺デザインは、現代でも印刷技術すらも変わってない可能性がありますね。名刺専用の印刷機もあるくらいなので、名刺デザインの定型化はある程度仕方ないことだったと思います。

その後、オフセット印刷が主流になってからは、もうみなさんもよく目にするカラフルな名刺になるわけです。

現代の名刺デザインは?

さて、この話の流れからすると、活版印刷という歴史を経ているから、現代の名刺デザインには活版のなごりがルール化されているのか?ということになりますが、名刺のサイズが定型化している点からしてきっとそれがひとつの正解ですが、厳密には、そうとも言い切れません。
紙の印刷物が好物のグラフィックデザイナーには活版のなごりを感じさせるデザインが多いのは事実です。それを別の印刷技術に置き換えて(たとえばエンボスや箔押しといった加工)新たに再現したりもしています。私はこの業界にいてそこそこの年月が経っているので、そういう印刷好きのデザイナーの意図を感じる名刺(※)をたくさん目にしています。

※参考:こちらの活版印刷専門店の「WORKS」ページを見ると、上記に該当する名刺デザインがたくさん出てきます。

凸版印刷そのものが、歴史や伝統を感じさせ、インクののり具合や用紙の手触りまで含めて「粋」なデザインになるので、好んで採用するデザイナーが多いということだと思います。
ただし、名刺のサイズに対して凸版印刷ができることには制限があります。インクの色数、線の細さ、文字の大きさといった印刷の可能領域を優先に考えざるを得ませんし、凸版を生かすために用紙選びも厚みや材質を考慮します。そういった仕上がりを逆算していくと、必然的にシンプルなデザインにまとまる傾向にあるようです。

もちろん、文字だけでなく、ロゴやイラストを凸版にするデザインもあります。

ロゴやイラストを凸版にするには、イラレで出てくる「ベクター」を使えるようになった方が凸版の製版に適していると思います。Photoshopなどのラスター画像データから凸版を作ることも可能ですが、凸版に適した画像に調整するため、細すぎる線を間引いたり、グラデーションをドットや線に置き換えたり(=シルクスクリーンのイメージ)、高解像度でイラストを処理する、などの必要があります。

かたや、全く別の印刷技法に魅了されてデザインされた名刺もたくさんお見受けします。

参考に「デザインのひきだし」(グラフィック社編集部)という雑誌が、2020年の第40号で名刺に適した印刷・加工・用紙の全貌を特集していたのですが、その付録がとってもボリューム満点だったのでこっそりご紹介します。

これ全部、印刷見本(91種、すべて異なる印刷・加工・用紙。製作所もまたほとんど異なる。)
©グラフィック社編集部/デザインのひきだし

91種類の異なる印刷が施された名刺のうち、約1/3が凸版もしくはエンボスや箔押しなどの名刺デザインでしたが、つまり残り2/3は異なる加工ということになります。用紙そのものが特殊なもの、形が長方形ではなく切り抜かれたもの、匂いつきのもの、プラスチック製のもの、プリントごっこのようなスクリーン印刷のもの、キラキラする塗料が入ったもの、厚盛りしたもの、など。
つまり、活版印刷の伝統や風合いはまったく引き継がれていない新しい名刺デザインも、最近は数えられないほどに日々、生み出されているということになるので、さきほど「活版印刷のなごりが正解のルールとも言い切れない」と言ったのは、こうした印刷技術の発展が貢献している側面も多分にあるからです。

2021/09/12追記:米山舞先生が先日の個展で特殊印刷についていくつかツイートされていました。まさしく新しい印刷技術は新しい表現を生むということですね〜!!!

課題の考察:名刺デザイン

では、ワタシの課題提出した名刺デザインは?というと。

特殊印刷・加工をしない、規定サイズ前提でのデザインです。そしてなにより、これは「Adobe Illustratorを使いこなす」という大目的が課せられた科目での課題という大前提を忘れてはいけません。

長くなりましたので、詳しくは後日、解説いたします。

2021/10/08追加の記事に、続きを少し書きました。下記リンクからどうぞ。

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